設立40年を経た今、デザイン部、製造部、企画営業部と生産から販売までを一貫した体制で、お客様のニーズに合ったモノづくりを第一に製造しています。

新商品開発、新技法にも積極的に挑戦し、今ではとることが極めて難しくなった世界遺産登録の屋久島の杉を染料に使い光沢のある「屋久杉染」を開発しました。他にも「紫いも染」「さねん染」等の独自のブランドを商標登録し、今までの細かさの限界を超えた超微細大島紬「15マルキ大島紬」という製造特許も取得しております。のちに15マルキを越える緻密さの「18マルキ大島紬」という製造といった様々な技術への挑戦も行っております。

普段のおしゃれにも大島紬を

着物だけでなく、日常でも使いやすいキーホルダーや帽子、カバン、財布、洋服、タペストリーといったいろんな形で大島紬に触れ合える、興味を持って貰えるきっかけを提供しています。「親子三代、大島紬」からヒントを得て製作したベビーギフト「おおしまつむぎ」。ご購入したお客様からも、嬉しいお声をいただきました。カーテンやクッション、使う方が大島紬を好きになって貰えるような堅苦しいイメージから、スタイリッシュでファッション性のあるものへのイノベーションです。

それでもまだ敷居が高いと思われる方、もしくはもっと知りたいと興味をもってくださる方は是非、窪田織物にお越しください。 製造過程を見られる工場見学、普段は見られない反物の大島紬など社員全員がかける大島紬への熱意が伝わるはずです。

窪田織物の大島紬 
Kubota Orimono’s Oshima Tsumugi

大島紬の製造工程は、多いときには60工程以上になります。

図案

大島紬の特徴は糸を染めてから織る先染めです。では、1つずつ紹介していきます。

図案

大島紬の製造は、デザイン制作から始まる。
表現したい絵、柄、風景などを大島紬として織れるように落とし込み「図案設計図」を作る工程。

大島紬は、「絣」というタテ糸とヨコ糸が重なってできる点を、点描のようにデザインしていく。また、一つの図案を折り返し織っていく織物である為、折り返し目を骨法という技法で絶妙に折り返していく。

さらに図案制作者は、のちの絣締、染色、織りなど全ての製作工程をスムーズに行えるよう熟知し、出来上がった時に好まれる色、デザインを想定しなければならない。

近年は、デジタル化によりパソコンで図案制作をしている。図案制作と連動して各製造工程への指示書もここで同時に作られる。この指示書のおかげでデザイン通りの大島紬が製造できるようになる。

一つのデザインで基本20着分の大島紬を作る。

パソコン画面
図案作業風景
整経

大島紬は、絹糸(シルク糸)で作られる。織上がりの密度(マルキ数)により糸の細さが違うので適正の糸の細さ、必要量を準備する必要がある。

整経とは、大島紬に使用されるタテ糸の長さ、本数を整える事である。
織上がりの密度(マルキ数)により柄の鮮明度が変わる為、一反に使用されるタテ糸の本数が密度(マルキ数)ごとに異なる。

大島紬のタテ糸は、以後の製造過程でもつれたり、順番を間違えたりしないように整えなければならない為、ばらばらにならないよう海藻から作られる糊(のり)で、20本程を一つに束ねて固着させていく。

整経1
整経2
絣締め

大島紬は、「絣」というタテ糸とヨコ糸が重なってできる点で、柄を作る。
絣締(かすりじめ)は、この「絣」を作る工程の最初の工程。

絣締には締機(しめばた)という専用の織機(おりき)を使用する。絹糸を絣機で締めいくのは、締めた部分の絹糸が染まらないようにする為である。この「絣」となる絹糸の部分を木綿糸で織り、絹糸を締めていく。

「絣」を作る工程は、木綿糸で絹糸を締めて、染めて、解いてと続く。

絣締め1
絣締め2
染色

絹糸を染める工程。染色方法は、多種にわたる、大島紬といえば有名な泥染めをはじめ、多彩な色を出せる草木染、日本の伝統色藍色を出す藍染など古来から受け継がれる方法から、化学染料で染める染色まで幅広くある。

泥染めは、テーチ木の染液と泥田の泥染と独特の黒が出るまで何度も繰り返し行っていく。奄美大島の泥でしかこの独特の黒は出せない。

※窪田織物では、商標登録の屋久島の杉を染料にした屋久杉染め、提携農家から直接調達した紫いもを染料にした紫いも染、奄美の月桃の草を使ったさねん染など主に草木染に特化しています。

加工

絹大島紬の製造工程の細かい工程。細かい工程を一括して加工工程、織り前準備工程などと呼ばれる。

「絣」を作る工程では、絣に色をさらに入れていく摺り込み、色差しを行う。 絣締で織り、染色後染まらないように使用した木綿糸を全て解いていく全解(ぜんかい)工程や染色した色が落ちないように色止めし、水洗い、糊付けなど糸を織れる段階までの工程など。

全ての糸の加工が終わったのち、タテ糸は配列され織機へ立て付け(セット)される。ヨコ糸は、管に巻かれ、杼(シャトル)にセットされる。

加工1
加工2
織り

織機(おりばた)で絹糸を織っていく工程。大島紬を作る作業としては最終工程。今までに整経、染色した絹糸を織機に載せて織っていく。一反の長さ12.5mを一か月以上の時間をかけて織っていく。糸には、もう柄になる染色が施されているので織り進めると柄は自然に出てくる。しかし、絹糸は生糸と呼ばれ、気温、湿度で伸び縮みする為、常に伸縮の調整が必要とし、さらに「絣」を0.1ミリ単位で合わせていく作業は、織工の経験と熟練の技術のたまものである。 織上がった大島紬は、検査機関で厳しい検査ののち初めて本場大島紬の製品として認められる。

完成

厳しい検査に通った反物は仕立てられ、着物になっていく。
幾多の職人の技の結晶、こんにちまで受け継がれてきた伝統が宿る至高の一品となる。

軽くて、冬でも暖かい大島紬は長い時代(とき)を経てなお人々を魅了し続けている。

完成1
完成2

本場大島紬フェスティバル

窪田織物は県内外のイベントにも積極的に参加しております。

是非近くによって緻密な織りの美しさをご覧ください。

大島紬に興味はあるけれど…といった方にもおすすめです。